アロマセラピーは香りによって良い気分にするだけではなく、植物の特徴を使って様々な症状を緩和する、もしくは問題発生を抑制する力があるとされています。私がイギリスで現在勉強している「クリニカルアロマセラピー」まさにそれを学んでいます。
その様々な症状に対してどの精油が合うのかを知る上で、この植物の分類「プランツファミリー」の特性と直結しており、良いヒントとなります。
今回はそれぞれのプランツファミリーの種類と特徴をまとめました。
プランツファミリーの概要
カール・フォン・リンネ(Carl von Linne’、1707 – 1778)はスウェーデンの生物学者で、彼は植物の類似性に応じて、「すべての生物を2語であらわす」二名法(学名)を体系化しました。現在も植物の命名に採用されている方法で、植物はファミリー(科)とそのあとは種の学名、すなわち種名は属名+種小名(細菌では属名+種形容語)で構成されています。
例えば、ラベンダーの名前については
- 科目(Plants family):シソ科
- 属(Genus):Lavandula
- 種(Species):angustifolia
こんな感じに植物は分類されています。
では、このプランツファミリーそれぞれの特徴について説明します。
シソ科/Lamiaceae, Labiateae
共通の特徴:
消毒・防腐作用、呼吸器系への作用、抗ウイルス作用、内分泌系ホルモンへのバランス作用、抗炎症作用、鎮静作用
シソ科に分類される精油:
バジル/クラリセージ/ヒソップ/ラバンジン/ラベンダー/フレンチラベンダー/スパニッシュラベンダー/スイートマジョラム/オレガノ/パチュリ/メリッサ/ペパーミント/ローズマリー/セージコモン/レッドタイム/スウィートタイム
ミカン科/Rutaceae
ミカン科の特徴
ミカン科は大きなプランツファミリーの一つで、重要な存在です。この中のシトラス属の精油は、香水産業および香料産業で広く使用されています。
植物は常緑の灌木、もしくは香りのよい花(星型で線対称)と葉、食用の果物をつける低木で、精油は、ペチグレンは茎葉から、ネロリは花から水蒸気蒸留法で抽出される他、多くは、果実の皮を(冷却)圧搾する方法で抽出されています。
果実はほとんど地中海で自生していますが、それらの多くはインドが原産国です。(グレープフルーツはアメリカ大陸)
共通の特徴:
消化器機能促進作用、高揚作用、抗ウイルス作用、刺激作用、皮膚への強壮作用、消毒・防腐作用、鎮静作用
ミカン科に分類される精油:
ベルガモット/グレープフルーツ/レモン/ライム/マンダリン/ネロリ/ビターオレンジ/オレンジスイート/ペチグレン
針葉樹科/Class Coniferae
針葉樹科の特徴
針葉樹科にはヒノキ科(Cupressaceae)およびマツ科(Pinaceae)があります。この2つの科は成分や効能が類似しています。
約3億年前に地上に出現した芳香性植物で、一般的には北緯度の標高の高い地域で生息しています。針や鱗状の葉を持ち、樹木は円錐型で自生しており、雄と雌の生殖機能を両方持ち合わせています。
精油は通常、針状の葉、小枝、松毬、果実、木くずを水蒸気蒸留法で抽出されています。
共通の特徴:
高い消毒・防腐作用、皮膚の感染症、呼吸器系への作用、殺菌作用、ストレス関連の症状に、脂肪分解作用-セルライトを軽減
針葉樹科に分類される精油:
ヒノキ科-サイプレス/ジュニパーベリー
マツ科- シダーウッド/パイン
キク科/Asteraceae (Compositae)
キク科の特徴
800属、13,000種にも及ぶ最大のプランツファミリーです。
この科の植物の特徴は、花がデイジーのような形をしており、海岸、山地、砂漠、湿地帯など、広範囲に生息しています。
精油は花先、蕾から水蒸気蒸留法で抽出します。
共通の特徴:
皮膚再生作用、抗アレルギー作用、消化器機能促進作用、鎮静作用、抗炎症作用、鎮痙作用、鎮痛作用、抗真菌作用
キク科に分類される精油:
ジャーマンカモミール/ヘリクリサム/ローマンカモミール/ヤロウ/モロッカンカモミール
クスノキ科/Lauraceae
共通の特徴:
刺激作用、抗真菌作用、殺菌作用、抗ウイルス作用、強壮作用
クスノキ科に分類される精油:
シナモンリーフ/リトセア(メイチャン)/ラベンサラ/ローズウッド
フトモモ科/Myrtaceae
フトモモ科の特徴
アロマテラピーにとって重要なプランツファミリーの一つで、75属、約3000種の植物が存在しています。
アメリカ、アジア、オーストラリアの熱帯地域に生息しており、常緑の葉を持っています。
この科の植物は、甘いスパイスや果物が実ります。
精油は、葉や蕾から水蒸気蒸留法で抽出します。
共通の特徴:
呼吸器系への作用、消毒・防腐作用、抗菌作用、抗炎症作用、鬱滞鬱血除去作用、抗真菌作用
フトモモ科に分類される精油:
クローブ、ユーカリシトリオドラ、ユーカリグロブルス、ユーカリスミシー、ユーカリスタイゲリアナ、ティートリー、カユプテ、ニアウリ、マヌカ、マートル
セリ科/Apiaceae (Umbelliferae)
共通の特徴:
あたため作用、脂肪分解作用、消化器機能促進作用、呼吸器系への作用、粘液溶解作用、駆風作用
セリ科に分類される精油:
アニスシード/コリアンダー/ディル/スイートフェンネル
バンレイシ科/Annonaceae
バンレイシ科の特徴
双子葉植物の科で、南国の熱帯から亜熱帯を中心に約120-130属の2,300-2,500種が属する。
非常に香りが強い花を咲かせるのが特徴です。
この精油は、花を水蒸気蒸留法で抽出することでわずかに得られます。
蒸留時間の長さに応じて、エクストラグレード(特級)、ファーストグレード(1級)、セカンドグレード(2級)、サードグレード(3級)...4〜5 つのグレードがあり、精油成分がそれぞれでわずかに異なる。“Extra”はアロマセラピーで最も一般的に使用されるグレードです。
共通の特徴:
消毒・防腐作用、抗うつ作用、血圧降下作用、鎮静作用
バンレイシ科に分類される精油:イランイラン
カンラン科/Burseraceae
カンラン科の特徴
17から18属540種が分布します。
アジア、アフリカと南北アメリカの亜熱帯から熱帯にかけて生息しており、砂漠や強い日差しの場所で自生しています。ゴム樹脂を形成し、精油はその樹脂から水水蒸気蒸留法の方法で精油を抽出します。
共通の特徴:
消毒・防腐作用、呼吸器系への作用、皮膚再生作用
カンラン科に属する精油:
フランキンセンス/ミルラ
フウロソウ科/Geraniaceae
フウロソウ科の特徴
約800種を含み、クロンキスト体系の分類では11属ほどに分けることができます。
草本または低木で、温帯と亜熱帯を中心として、世界に広く分布しています。
葉、茎、花から水蒸気蒸留法で抽出する。
エジプト産、特にレユニオンオイルは最高品質と考えられていますが、中には中国産のものもある。
共通の特徴:
抗真菌作用、肌のコンディションを整える、ホルモンバランス調整作用
フウロソウ科に分類される精油:ゼラニウム
イネ科/Poaceae (Gramineae)
イネ科の特徴
この科の植物は主に草です。
とても丈夫で、生息地は広く、極地や熱帯、湿地、砂漠にも自生しています。根が強力で、線形の葉の構造が特徴です。
精油は茎、葉、根や根茎から水蒸気蒸留法で抽出します。
共通の特徴:
抗炎症作用、優れたスキンケア効果、鎮痛作用、ストレス緩和、神経性疲労緩和
イネ科に分類される精油:
シトロネラ/レモングラス/パルマローザ/ベチパー
コショウ科 /Piperaceae
コショウ科の特徴
ブラックペッパーを含むコショウ属には、1,000 種類ほどの植物があり、多くは南国の低木、または木肌を這うように自生しています。
ブラックペッパーはこの科唯一の精油で、果実を水蒸気蒸留法で抽出します。
共通の特徴 :
鎮痛作用、殺菌・抗菌作用、消化器機能促進作用、あたため作用
コショウ科に分類される精油:ブラックペッパー
バラ科/Rosaceae
バラ科の特徴
バラ科は 115 属あり、非常に大規模なプランツファミリーです。バラ属はアロマセラピーにおいて、とても重要そして唯一のものであり、150 種余りのローズとそれぞれに一つ一つ名前がついた品種があります
主にアロマテラピーでは
Rosa damascene/ダマスク、Rosa centifolia/キャベツ、Rosa gallica/アパセキャリーの 3 種が使用されています。
水蒸気蒸留法で抽出したオーズオットーか、溶媒抽出法でローズアブソリュートを生成します。
共通の特徴 :
殺菌・抗菌作用、抗炎症作用、抗うつ作用、収斂作用、瘢痕作用、ホルモンバラン作用、等々
バラ科に分類される精油:
ローズオットー/ローズアブソリュート
ビャクダン科 /Santalaceae
共通の特徴:
消毒・防腐作用、利尿作用、鎮静作用、抗不安症、呼吸器系への作用
ヒャクダン科に分類される精油:サンダルウッド
ショウガ科 /Zingiberaceae
共通の特徴:
鎮痛作用、抗炎症作用、消化器機能促進作用
ショウガ科に分類される精油:
ジンジャー/プライ/カルダモン
まとめ
このように、それぞれのプランツファミリーには共通する特徴があります。
精油を使用するうえで、たくさん存在する精油の特徴を暗記するのは難しいですが、プランツファミリーの共通する特徴をある程度知っていた方がブレンドもしやすいですよね。
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